旅樹

宜蘭を拠点に、ゆったりとした生活を形作る

冬山親水公園の近く、緑に囲まれたそこに打ちっぱなしコンクリートの建物がひっそりと佇む。颯爽と吹く気持ちいい風と午後を優しく照らす陽の光が、池に浮かぶ桟橋のその先、「旅樹」へと貴方を誘う。風に揺れる緑、水面に浮かぶ青い空、そして蓮の葉、それら全てが一つの絵画のような景色を創り出している。扉を開くと、ヒノキの香りが一気に鼻腔を刺激し、静かでゆったりとした空間が目の前に広がる。ずらり並んだ腰窓が、外の景色すら室内空間の一部にしている。ご主人の晏碩さんがはにかみながら挨拶する。その姿もまた、絵画の一部のように思える。

「旅樹」で見られる景色や物は、ご主人晏碩さんの素朴で優しい印象そのものだ。そんなご主人が、昔は船上で働く水夫だったことは、想像しにくいことだろう。船上での勤務期間が長かった晏碩さんは、家族にもほとんど会えなかったそうだ。そして６年前、父親の「民宿をやりたい」という思いに呼応し、海から陸に戻ることを決意。故郷に帰ってきたという。

晏碩さんと家族は、地元宜蘭の建築士・林晉德氏に民宿の設計を依頼、2年の月日を経て、この湖に浮かぶコンクリート打ちっぱなしの「旅樹」が誕生した。こうして形作られたゆったりとした静かな生活環境は、晏碩さんが根を張る場所でもあり、旅人がゆっくりくつろげる場所でもあるのだ。

自然がすべての部屋を抱く

部屋に入ると、ヒノキの香りが嗅覚を支配する。まるで大樹に抱かれたかのような安心感が心に充満し、正に心からリラックスできる。「旅樹」にある9つの客室には、2人部屋4人部屋を問わず、全てにベランダが付いている。大きな腰窓からは外の自然が室内に充満し、座ろうが寝っ転がっていようが、周りの湖を望むことが出来る。

池に一番近い1階は、水面に映る恋人同士が最高の景色になる。2階に上がると、水面に揺れる木々の姿を楽しめる。3階からは遠くの山々や近くにある水田を眺められる。それぞれ違う高さから見る景色からは、柔らかく水面を撫で、木々が囁く優しい風があなたを包み、心も体も清々しい気持ちにさせてくれる。

木の幹と共に3階へ上がる、そこにはご主人オススメの305号室がある。腰窓から差し込む陽の光が、ヒノキで飾ったコンクリート壁の空間を暖かく照らす。ベランダへの大きな扉を開き、外に広がる景色を眺める。遠くには山々が、足元には池が、周りには田園が広がる。それを目の当たりにすると、ゆったりと流れる午後の時間を、この優美たる景色と、ただ共に過ごしたいとすら思わせる。夕方になったら、開放式の湯船に浸かり、恋人同士ロマンティックな雰囲気に包まれるのも良し。ガラス張りのシャワールームでは、静かに流れる夜の安らぎをお届けする。

林と池に囲まれながら過ごす静かなバカンス

柔らかな朝日が差し込み、優しくあなたを起こす。寝ぼけたままゆっくりと下に降りていくと、豪勢な台湾式ビュッフェの香りが漂っている。現地ならでは冷製鴨肉、切り干し大根の卵焼きなど、10種類ほどのおかずと湯気を立てるアツアツのおかゆに、思わずよだれがこぼれそうになる。そんなおかゆを一口食べると、胃袋も心もポカポカになる。一日の活力をここで蓄えれば、旅の準備は万端だ。

池の近くにある林の小道を散歩すると、木々の香りや鳥のさえずり、光と影の戯れ、それらが風に揺れ動く水面に映る秋の詩ように、あなたの心に語りかける。「旅樹」、ここは喧騒から離れ、ゆったり静かに、身体も心も休める場所。