新竹關西

羅屋書院

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関西の自然の中で味わう100年の歴史

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Dear b&b 3つの約束

  • 客家族の伝統ある築100年の古民家
  • 梁部分に描かれた細やかな絵や彫刻、玄関先の美しい対聯
  • 後方には山、前方には一面の田園風景を望む広い景色
  • 新竹県の小さな町・関西の文化散策マップ
  • テーマから選べるプチ旅行ガイド

宿について

宿の風景をのぞいてみよう

関西の自然の中で味わう100年の歴史

冬の暖かい太陽の下、古くから残る街並みに沿って歩く。そこには新竹県・関西の小さな町の生活の記憶と痕跡が刻まれ、街並みの終わりまで続いている。その先にある曲がり角を曲がり、細いあぜ道を過ぎて、南山大橋を渡りきると、南山をぐるりと囲む鳳山溪の川のせせらぎが聞こえ、冷たい風が日の光の中を通り抜けていく。南山の麓に建つのは、伝統的な三合院建築。赤いレンガの壁に石瓦の屋根、玄関口の両側には美しい文字で対句が記された対聯が貼られ、100年の歳月を訪ねて来た者にそっと語りかけている。、「羅屋書院」は、華やかな歴史を今に受け継いでいるのだ。

 

 

関西・上南片に残る、百年の歴史ある私塾

門を抜け、小道に沿って三合院の中へと入っていく。赤レンガの壁は時間の流れや日の光とともに色褪せ、玄関から人が出入りした痕跡もだんだんと薄れていっているように見える。門構えの両側には対聯が貼られ、窓枠や壁に彫られた生き生きとした彫刻が、当時の家主の社会的地位が高かったことを表している。門の上部には「豫章堂」と書かれた額が掛かっており、門前は広々としていて、関西・上南片の田園風景を望む。ここは「羅屋書院」。100年以上に渡り、代々受け継がれてきた客家の伝統建築だ。関西一帯に暮らしていた羅家が建造したもので、その当時に一家が暮らしていた本家のそばにあったため、「河背大樹下新屋(川を背に立つ大木の下の新居)」と呼ばれていた。それはのちに羅家の子弟たちの私塾となり、「羅屋書院」と呼ばれるようになったのだそうだ。

 

この場所で生まれ育ったオーナーの羅さんは、羅屋書院が建てられた100年前のことについて語る。12年の歳月をかけて建てられたこの家は、壁の内側に土壁を使用し、レンガ壁を基盤として、石のブロックで外壁を築いたものだ。美しい装飾が施された梁は、客家族の学問に対する意識の高さを表している。石に彫られた彫刻は学のある者を敬うことを説き、窓にはめ込まれた竹枠は、徳を積んだ者が持つ美しさを暗に表している。そうした装飾は、一つ一つ繊細な技術を用いて作られたものだ。透し彫りの麒麟、牡丹の花、鳳凰の絵は吉兆と富を表し、両脇には長寿の神様である南極仙翁と、商売繁盛を意味する劉海戲蟾が彫られている。どちらも家族の繁栄と深い関係のある縁起の良い神様だ。

 

 

入り口の門の向こうには、流れゆく時が静かに眠る

以前は羅家の子弟たちが暮らし、勉強をしていた客間も、現在は訪れた人が100年の時の流れを感じられる部屋となっている。リビングには整然と並べられた中国古代のデザインの椅子や神棚が置かれ、壁には扁額と美しいランプシェードが掛かっている。絵で描かれた関西一帯の大きな地図には、先人が詠んだ関西八景の漢詩が華を添えている。外廊下から繋がる赤レンガで作られた西洋式のアーチ型の門をくぐると、今もなお使うことができる古い台所や家族写真が並ぶダイニングがあり、そうした一つ一つの物が遥か昔に流れていた時を物語る。

 

夜、玄関先に座り、初めて出会う他の宿泊客たちと言葉を交わす。お茶を注ぎながら世間話をし、きりりと澄んだ山の空気を吸い込んで、一面に広がる星空を見上げる静かな時。夜が深まると、玄関脇にある木の香りに包まれた二人部屋に戻ったり、畳の敷かれた四人部屋で横になったりと、それぞれ思い思いの時間を過ごす。そしてこの場所で、昔の生活の様子を感じながら、ひっそりと時とともに眠りにつく。

 

 

集落のプチ散策と月夜の風景

「南橋には鳳凰が掲げられ、玉翠峰の山並みは碧流に浸かる。月の光の下、溢れる水の輝きは斗宿を揺らし、水が奏でる琴の音と魚の歌声が聞こえてくる」ーー。朝日とともに目を覚まし、旅人たちのために用意された伝統的な朝食をいただく。それは台湾の田舎でよく食べられる家庭料理で、じんわりとお腹を温め、心に染み渡っていく。お腹が満たされたら、散策マップを片手に歩き出す。くねくねと曲がる道や真っ直ぐな道を通り、田んぼの中にぽつぽつと民家が並ぶ道を抜けると、関西の小さな町に辿り着いた。古い街並みの中にある藍染工房で藍染めを体験してみたり、古本カフェで掘り出し物を探してみたり…素朴でのんびりとした村の生活に足を踏み入れる。

 

「月の光はゆらゆらと逆さまに映り、虹色の光が入り乱れて水の泡を作る。旧暦15日の夜月を目に焼き付け、悠々と泳ぐ海亀の詩を詠む」ーー。日の光が南山に降り注ぎ、目の前に続くあぜ道を眺める。かつて急ぎ足で流れていった歳月は、ゆっくりと時間をかけて、穏やかな風景へと変わっていく。夜の帳が下りてきて、ひんやりと吹く風と月の光に影を落とす。100年の歴史あるこの家で、天地と時間との会話に耳を傾けよう。

 

 

Owner's Story

宿とオーナー、十人十色の物語

羅さん・心の赴くままに、100年続く羅家の新たなストーリーを描き続ける

日の光が「羅屋書院」の玄関口に差し込んでいる。眼鏡をかけた、少し厳しそうな面持ちのオーナー・羅さんが、熱意のこもった大きな声でこちらに声をかける。小学校での授業を終えて戻って来たばかりだが、「羅屋書院」の広間に私たちを案内し、元気いっぱいに家の中を一つ一つ紹介しながら、時々梁の彫刻や絵の意味についても触れる。私たちが、羅さんはなぜ「羅屋書院」に戻って来たのかと尋ねると、彼はお茶菓子を持って来て、縁側に座ってゆっくり話そうと言う。

 

 

大きな気掛かりだった築100年の実家

羅さんはまず家族の歴史から話し始めた。清朝時代、乾隆年の頃に関西一帯に移り住み、南山の麓の土地を開墾し、集落を形成した羅家。100年前、日本時代初期の多くの建築が焼き払われ、当時の羅家の祖先は集落を再建・修復し、同時に羅家の祖先を祀る祠と新たな家を建てた。そして、12年の月日をかけて完工。勉学を重んじる客家族の伝統に従い、元々あった本家の隣に建てた新しい家こそが、現在の「羅家書院」だ。羅家の弟子たちの私塾としてだけでなく、家族内で知識のある者が読み書きを教えることもあったのだという。そしてかつて分家であった時に羅家の親族が住んでいた家は、羅さんにとって小さい頃から長期休みになると訪れるもう一つの家となっていった。

 

「昔は夏休みになると毎回帰って来て、従兄弟たちとこの広場で遊んだなあ。」羅さんは笑いながらこう話す。小さい頃に両親とともに台北へ引っ越し、何不自由ない仕事と生活があったとはいえ、父の友人たちが年をとっていくにつれて、彼らだけの力ではこの100年の古い家を管理できなくなっていくということには気付いていた。家族や同世代の仲間も多くは外に仕事があり、誰もがこの古民家を気にかけてはいても、どうすることもできなかった。羅さんもその頃、内心ではずっとこの事を気にかけていたと言う。「今やらなくても、いつか向き合わなくてはいけない時が来る。」そしてこの気掛かりが、彼を関西の実家へと戻らせた。

 
 

「準備ができるのを待っていたら、何も始まらない」

「人生にはやるべきことがたくさんある。準備ができるのを待っていたら、何も始まらない。」羅さんの話ぶりはさらりとして聞こえるが、それは彼が特別に仕事ができるからということではない。それは彼が誰よりも一つ一つの事に向き合って、決めたことを確実に行動に移してきたからだ。彼の一世代上の人は、若い世代はこの場所を離れ、台湾の外に出て初めて成功できると考える。しかし彼はそうは思わない。それよりもむしろ、台湾にある数多くの自然や文化、建物こそが、最も大切な財産だと信じている。「自分が何をすべきかさえ分かっていれば、この場所でだって成功できる。」

 

「羅屋書院」の管理を受け継ぐと、羅さんは空間を保存するだけでなく、この集落も共に発展させていきたいと考えた。そして町の人たちと連絡を取り、「羅屋書院」を地域の劇団の活動場所として貸し出すなど、一歩ずつ地域の活性化を推し進めていった。そして、「関西芸術の町」として、専門的な地域ガイドを育成し、加えて関西散策マップを製作することで、この場所の生活と文化の奥深さをより深く伝えると同時に、積極的に家族と意見を交換し、歴史建築としての「羅屋書院」の保存修理、老朽化した梁や柱の除去といった申請を進めている。また、宿としてだけでなく、この貴重な築100年の客家の古民家を一般向けにも開放することで、関西の集落や古い街並みに残る美しい伝統文化と記憶が、多くの人の心に残ることを願っている。

 
 

感じるままに進み、自分の居場所を見つけ出す

「実はこの仕事は、僕がやらなくてはいけないという事ではないんだ。もし良い人がいれば、その人にやってもらったっていい。」「羅屋書院」の管理に集中するために、羅さんは台北での仕事を辞め、近くの小学校で英語を教え、たまに時間ができると台北に戻って家族との時間を過ごす。しかし彼は驕り高ぶることはなく、彼と同じように文化と古蹟を愛してやまない妻のサポートに対する感謝はもちろんのこと、内心では捨て切れない気掛かりがあることも理解している。それでも彼は故郷をより良くしたいと願い、そして何よりも、「羅屋書院」の建築とストーリーがはるか遠くまで伝わっていって欲しいと願う。「羅屋書院」は単なる宿ではない。ここでテントを立てて星を眺めることもできるし、地元の人が話す料理の説明を聞きながら、大人数でテーブルを囲んでご飯を食べることだってできる。」以前は何年も空き家となっていたこの古民家は、今は多くの旅人の話し声や笑い声で溢れている。この場所で毎日新たなストーリーが生まれ、新たな可能性が始まっているのだ。

 

「誰にでもその人にしかできないことがある。」羅さんは生き生きとした様子で語る。心の声に耳を傾け、自分のやるべきことを見つけられるのは自分自身しかいない。「そうしたら自分の居場所が見つかるはずだよ。」羅さんの落ち着いた眼差しは、まるで夜の闇に輝く光のようで、彷徨っていた気持ちをしっかりと前へ向かせてくれる。羅さんは笑いながら、実は墓地のひっそりした雰囲気が好きなんだと話す。どうしたらいいか分からなくなると、いつも墓地を訪ね、気持ちを落ち着かせてから、ゆっくりと考えを巡らせる。彼は自分のこの変わった行動を冗談混じりにこう話す。「人それぞれ自分のやり方がある。静かに座りながら考えに浸る人もいるだろうし、街歩きをしている時に、自分らしさを取り戻す人だっているかも知れないでしょ?」

 

夜になり、空気がひんやりとした風に変わる。縁側で星空を見上げながら、意気揚々と語る羅さんの話を聴く時間。それは素晴らしい人生の授業のようで、心は熱い思いで満たされていった。