アフタヌーンティーは、木漏れ日が降り注ぐ芝の上で
広々とした庭のテラスで揺れる籐製のハンギングチェアが、居心地の良さを物語る。庭先のテーブルに降り注ぐ木漏れ日…コロコロと鈴の音のような笑い声もこぼれ落ちた。仲間たちとクッションを敷き詰める。午後のお茶が待ち切れない――オーナーは台南らしいスナックやカプセルコーヒーを用意してくれていた。地元で人気のプリン、それにフルーツケーキもある。友人がひと口、私がひと言。真心の味を笑顔で味わう。
ドアを開けると、クールな光沢を放つコンクリートの床と木目のインテリアに迎えられた。太陽の光溢れる穴に潜り込んだような…雑誌の中に迷い込んだような…驚き!高低差のある遊び心にあふれたリビングは、シンプルで温かみのあるオープンキッチンへと続く。ソファーに座って大きな窓から庭の緑を眺めたり、スクリーンを下してお気に入りの映画を観賞したりもいい。自宅のようにくつろげる掘りごたつ風のテーブルで、足を突き合わせて気ままにおしゃべりするのも悪くない。小粋な壁一面の書棚には、家族たちのセンスが凝縮されている。
安平で過ごすひと時を貸し切り、安らぎ設計が「来佇流」
「設計の出発点は、1棟貸しの宿だったんだ。だから家族旅行の要望にはかなり沿えると思うよ」。デザイナーでもあるTeddyさんとWinnieさんは胸を張る。家族の希望と自らの専門性を合わせて皆の想いを形にした「来佇」は、一家揃って宿泊できる1棟貸しの宿となった。4階建ての空間には3つの2人部屋があり、どの部屋も異なるイメージとなるよう心掛けた。部屋の隅、何気ない空間…どの場所も、温かな対話をつなぐ場所となるのだ。
2階の縦に伸びる和室へ。ここは従来の横に広がる和室を、垂直の概念を用いてデザインした。大きな窓から降り注ぐ光と独特なライトが、暗色の壁やカーテンと均衡を保ち、昼と夜では全く異なる雰囲気を醸し出す。年配者さえものんびりできると気に入るだろう。そして、窓際の吊棚からのぞく小さな足を見つけた瞬間、孫たちはくすくすと笑いかける。なるほど、後ろ側はくりぬかれていて秘密基地が隠されていたのだ。他にはない仕掛けに驚きがある。そして2階と中2階のベッドサイドはお話の間だ。カウンターテーブルから大きな窓へと傾斜する天井の広い室内は、穴ぐらに入ったような安心感がある。夜には、ゆっくりバスタブで香りを楽しんだり、ぼんやり夢の狭間でおしゃべりしたり…眠りにつく前に愛する人とワイングラスを傾けるのもいい。ベッドサイドに明かりを灯したら、彼はベッドの中で、昔懐かしいおやすみの物語を待っていることだろう。それから3階には光の温室、サンルームがある。ガラスの向こうに美しい景色を描く草花。限りなく透明のそこで、暮らしのあらゆる風景もあらわになって研ぎ澄まされていく…。
安平港に降り注ぐ金色の光、語り合う涼やかな夜
夕方、黄金色の夕陽が3階の温室を優しく包み込む。缶ビールを片手に屋上の秘密基地へと急ごう。目の前には広がる港。日の出や日の入が見えるこの場所で、風に吹かれてのんびりと旅の夜を笑顔で彩ろう。
鳥のさえずりで目覚めた朝、スキップフロアのガーデンテラスをのんびり歩いていると、暖かな陽射しに心が和む。子供たちが3階の室内に面した窓を開け、踊り場にあるステレオをつけた。軽快な音楽が暮らしのリズムとなって流れ出す。笑顔の絶えない理想の暮らしは現在進行中だ。
お母さんの夢を叶えるため、家族は再び集結した。この宿はWinnieさんとTeddyさんの初めての共同設計で、雇い主はもちろんお母さんだ。当初は伝統的な間取りを排除した斬新なデザインを取り入れることに躊躇していたが、家族の願いや歩み寄りを調整して、最終的には全てを2人に任せた。そしてついに「来佇」は皆の心が1つとなって完成したのだ。「また来てね!」南国の太陽の中、人懐っこい笑顔で一家は旅人に手を振る。その後ろではお父さんに魔法を掛けられた木々が、旅の思い出をきらきらと輝かせていた。