台南市區

看見。綠 俬旅

[JA](此旅宿已暫停營運,恕無法提供訂房相關資訊)

微かな明かりに照らされた美しき温室

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Dear b&b 3つの約束

  • ドライフラワー工房と融合した夢のような空間
  • 異なるドライフラワーがテーマの4つの客室
  • 限定のドライフラワー教室
  • ロケーションはにぎやかな海安路エリア

宿について

宿の風景をのぞいてみよう

微かな明かりに照らされた美しき温室

これはきっと夢だ。緑色で、そして森の匂いがする。うららかな光とそよ風が舞うここに、春は永遠に閉じ込められていたのだ。人の姿はなく、いるのは私と小鹿だけ。つま先立ちで首を伸ばし、花の香りがどこから漂ってきたのか、そのありかを探す――民宿「看見。緑俬旅」。ここは都会にある秘密の森、そして古民家の中の芳しき温室だ。美しき夢のような旅への入口にようこそ。太陽、空気、水――命に不可欠な要素たちがこの永遠にきらめく緑俬旅を作っている。優しく、純粋で、永遠の存在なのだ――。

 

 

夢を売る緑の温室

海安路から路地に入ると、台南の街角に温室が現れた。真っ白な壁に黒い枠で縁取られた大きな窓ガラス。まるで夢で育まれたかのような色とりどりのドライフラワーに、陽光を燦々と浴びる多肉植物の鉢植え。フェンスのドアを押し開けると、パッと淡い花の香りに包まれた。乙女たちが夢見る緑色の旅が今、始まろうとしている。

 

びっしりと埋め尽くされたドライフラワーの花束に目を奪われる。美しい記憶が呼び起こされるように、心の奥で眠っていた無邪気な少女が、おとぎ話の中へと足を踏み入れた。並べられた花の名前を見ては、いったいどのようにして最も美しい姿で閉じ込められたのだろうかと思いを巡らす。胸に秘めていた悲しみの涙さえももう乾いてしまったのだろう。目の前にあるお気に入りの花と目が合ったその瞬間、時は止まり、幸せな気持ちで心は満たされる。

 

1階の素敵な工房と温室を親切なスタッフが笑顔で案内してくれた。座り心地のよい緑色の革製ソファーに、趣ある上品な木製のテーブルと棚。スケッチブックに描いた理想の空間だ。柔和な雰囲気を持つオーナーが、旅人のために家具店を回って探し集めてきたこだわりの家具たち。午後の陽射しがテーブルにこぼれ落ちる。草花とその影に癒やしを感じるこの時、夢と隣り合わせであることに気付くだろう。

 
 

ドライフラワーが香る客室から4つの異なる旅へ

スリッパに履き替えて、レトロな床の階段を上がる。温かなのフローリングには光と影が伸びていて、廊下には乾燥中の花が吊るされている。まだ乾き切っておらず、空気中に無限の美しさを振りまいている。その姿はいつもと違う旅になることを予感させてくれるはずだ。

 

白いドアに掛けられているのはオリジナルのドライフラワーリース。花の名前が客室名になっていて、夢の世界に飛び込んだ気分にさせてくれる。4人部屋の「果実房」のコーヒー色を基調にした室内には、木の実やコノテガシワ、ヒマラヤスギ、バラアサガオといったドライフラワーが飾られていて、まるでリスたちの可愛らしい巣穴に身を隠しているような気持ちになる。柔らかな木綿の白いベッドに横たわり天井を仰ぐと、頭上にあしらわれた果実がキャンプファイヤーのごとく暗闇に光る。ひそひそ声でのおしゃべりは一晩中止まらないだろう。森のパーティーの続きは夢の中で…。

 

4人部屋「薫衣草房(ラベンダー)」は乙女たちがピクニックを楽しむ花園だ。淡く重なった紫色の層がリラックスさせてくれて、美しい幻想が部屋全体に溢れる。スターチスの「永久不変」という花言葉とラベンダーの愛が、癒やしを必要とする疲れた心を温かく包みこみ、あなたと友人たちを優しい眠りへといざなう。甘酸っぱい夢が熟した2人部屋は「酸漿果房(ほおずき)」。からし色のソファーが部屋の一画を明るく彩り、真っ赤なほおずきが松の葉に寄り添いながら頭を垂れている。思わず温かくてわくわくした気持ちになる。そして「繡球花房(アジサイ)」はカップルにぴったりの2人部屋。乾燥して真鍮色へと姿を変えたアジサイの花、風になびく蘆(アシ)。ブラインドから斜めに射し込む陽射しが、2人を優しく夢から目覚めさせてくれるだろう。

 
 

優しく清らかに、いつでも受け入れてくれる場所

夜のとばりが下りた頃、すっかり静まり返った温室に下りてみた。温かな光がぼんやり浮かぶそこには、白昼にぎわっていた人々の群れはもうなく、しんとしている。滝のように覆い尽くす緑は、まるで精霊たちの髪のよう。雪のような綿花は、柔らかで純潔な心を持った天使みたいだ。そして、季節はめぐる。春はここに閉じ込められたままで、冬はまだ深い森の中をさまよっているのだ。

 

朝、芳しい香りの中で目覚めた。オーナーと朝の挨拶を交わしたら、一緒に華麗で小さな花園を作ってみよう!宿泊者だけのドライフラワーDIY体験は予約を忘れずに。花冠やブーケ作りが楽しめる。オーナーが親切に教えてくれるから、誰でも素敵な作品を作ることができるはずだ。

 

夢を見た。ありのままの私を受け入れる夢。温かな夢の中に記憶を閉じ込めてしまいたいと思ったら、緑俬旅に来よう。心の底にそっと秘めていたものごとにさえ、ここでは向き合うことができる。ドライフラワーのように、色鮮やかなまま閉じ込めてしまえばいいのだ。永遠に咲き誇る「看見。緑 俬旅」で。優しく清らかに、変わりなく受け止めてくれるこの場所で。

 

 

Owner's Story

宿とオーナー、十人十色の物語

アクアさん&小龍さん.ドライフラワーからこぼれ落ちた2粒のしずく 夢を手作り

足を踏み入れると、柔らかな雰囲気に包まれた。部屋いっぱいのドライフラワーは 優雅な香りを漂わせ、色とりどりのハーモニーを奏でている。ガラスの温室の向こ うからやってくるのは、きっとかわいらしい女性にちがいない。だが意外にも、微 笑みながらハーブティーを振る舞ってくれたのは2人の上品な男性だった。 黒ぶち のメガネをかけているのが、1979年生まれてんびん座のアクアさん。立ち振る舞い 一つ一つにデザイン畑出身特有の無駄のない美しさがある。そして1987年生まれ、 いて座の小龍さんは、色白の文化人といった顔立ちで爽やかに微笑む。クリエイテ ィビティにあふれたそのまなざしには、大人の男性ならではの落ち着きと温かみが ある――彼らはまさに、「看見。綠俬旅」のドライフラワーからこぼれ落ちたしず く。温かな夢の宿を生み出した張本人たちだ。

 

 

確かな温かさを感じた、初めての花束

パーティーで出逢った2人。この時はまだ、夢へのスタートを共にすることになると は考えてもいなかった。 芸術をたしなむ家庭で育った小龍さんは、子供の頃から園 芸に興味を抱き、小学生の時に押し花を習い始めた。押し花の本を出したこともあ るほどだ。その頃に芽生えた小さな情熱は、枯れることなく心の温室で育まれた。 自分の花屋と民宿、水族館を開くことを夢見て、高校と大学ではデザインを学び、 憧れのインテリアで部屋を飾り、大好きな草花との対話を楽しんでいた。

 

成功大学工業設計学部を卒業したアクアさんは、卒業後すぐ北部にある科学技術関 連企業でプロダクトデザインやソフトインターフェースの構築などに携わった。当 時、発展著しい産業の中で駆けずり回っていた彼は、物言わぬ機械と向き合う以外 を生命力あふれる植物との時間に当て、冷え切った仕事とのバランスを取っていた 。そんな中、徐々に多肉植物の栽培やドライフラワーにのめり込んでいった。

 

花が好きという共通点で意気投合した2人は、「華山1964文園創区」やほかの手作り 市に出店しては、人々との触れ合いを楽しんだ。初めて売った花は、小雨混じる曇 り空の手作り市だった。買い物を楽しむには、売る方にも買う方にも恵まれない空 模様。だがその時、香港からの旅行客がやってきて商品をじっくり選び始めた。最 初のお客さんだった。包装している間に言葉を交わしているときに、ふと気付く。 ごみごみした都会では、小さな花束の癒しを求めている人たちがいるのだと。こう して2人のドライフラワーは、徐々により多くの人の手に渡るようになり、人々の心 を癒していった。彼らもまた、心の中にあった未來への想いに気付くことができた のだ。

 
 

楽しく苦しむ、そして苦しく楽しむ

栽培、仕入、包装、販売……趣味だったドライフラワーが少しずつ事業として形に なっていき、2人は1年後、新たな人生の扉を開けることになる。アクアさんはデザ インへの情熱を失っていた。インターフェースしかり、ソースコードしかり、限界 を感じていたのだ。一方、小龍さんは、着実に夢への階段を上っていることに気付 く。そして3か月の準備期間を経て、2人は台北に「看見。緑工作室」を開いた。ア クアさんはすぐに会社を辞め、小龍さんも事業に全力投球。彼らは心のままに、美 しいドライフラワーで夢という花束を形作っていったのだ。

 

暮らしの中に美を見出すことができる2人は、ドライフラワーの世界から新たなイン スピレーションを多く得た。当時はまだあまり多くの人に認知されていなかったド ライフラワー。有名な専門家や指導者もいなかった。明け方の4~5時前に台北郊外 の内湖にある花市に向かい、日本の花の専門書を見ては研究に明け暮れ、Pinterest で気になる画像を探しては試行錯誤を繰り返した。花を買っては、思い切って練習 。経済的にも精神的にも、長期に渡るつらい時期ではあったが、あふれる情熱に支 えられた。そして努力が少しずつ実を結ぶようになり、業者とも関係ができあがっ ていった。ケンカもたまにするが、正反対の2人は信頼できるパートナー同士だ。果 敢に挑戦し、情熱的で夢を追い続ける小龍さんは、冷静に物事を分析するアクアさ んに助けられている。

 

「「楽しく苦しみ、苦しく楽しむ」アクアさんは目を細めながら、理想を追い求める ってそういうことでしょう?と話す。温かな責任を背負う夢追い人。それが最も厳 しい試練でも、理想にあふれる瞳は明るく輝いていた。

 
 

花束を売る男子、物語を語る時間

2015年、台北「看見。緑工作室」での2年間の経験を手に、2人はアクアさんの故郷 、台南へと移り、民宿と工房を融合させた「看見。緑俬旅」をオープンさせた。そ れはまた、更なる試練の始まりでもあった。完璧を目指して全てを自らの手で行な う彼らは、隣のカフェでドライフラワー作りのレッスンを終えたかと思えば、民宿 にすぐに戻ってはレンガを積み上げる。かつては手作り市に出店するためだけに来 ていた台南だったが、夢と共に戻ってきた今、地に足を付けて生活ができる場所に なったと感じている。美しいドライフラワーを見たり、草花の香りを楽しんだり、 ここをそんなゆとりが感じられる街にしたい。夢の実現には苦労も付きまとうが、 道すがら流した汗と涙は夢の花として乾燥させてしまえばいいのだ。

 

彼らが夢を追ってきた物語は、まるで少しずつ乾燥し、美しくなっていくドライフ ラワーのようだ――かつて命があったものに、また新たな命を吹き込む――彼らが 苦しくても続けられるのは、毎回のレッスンで得られる相互作用があるからだ。「 教えることで学ぶ側からも刺激を得られる」と2人は口をそろえる。この生命の温度 と時間で変化する花のあり方に、誰もが創造力を感じるのだ。「時々、生徒から自 分が気づいていなかったことに気づかされる。教えると同時に、自分も学んでいか なければ」花束とその技を売っているこの2人は、夢の途中にいても自らの時間と記 憶を胸にしっかりとしたためている。消えゆく命の中にある美しい風景を少しでも 多く拾い集めようと。

 

「S.A.Wは、Sun、Air、Waterの頭文字なんだ」2人は空中に指で文字を書きながら、 宿の英語名に隠された秘密を教えてくれた。命を育むためのこれらの要素は、まる で彼らが魔法のスティックを振ったかのように、後方に並べられた花束一つ一つへ と吹き込まれていく。時間の積み重ねは、1本の花を花束に、そして都会の中に佇む 緑の温室へと姿を変えていった。優雅で温かく、純粋で永遠の場所――2人のこの理 想郷は、あの日出逢った午後の陽射しやそれに照らされた花束のように、そして夢 に注がれた命を潤す水のようにあり続けるのだろう。