海辺でオーナーの理想の生活に出会う
日の光を浴びる芝生に沿って宿の方に歩いていくと、静かで心地良い空気の中、海の音が聞こえてくる。オーナーのLouisさんは海を眺めるようにしながら坂の上に立っていて、あなたが向かってくるのを見つけると、手を振って出迎えてくれた。グレーを基調にした宿のデザインは海岸山脈に映え、その佇まいには悠然としたものがある。宿の裏にある芝生の斜面の上には開け放たれた黒いドアが3つあり、建物の外にある長い通路は開放式のダイニングへと続く。奥さんのNancyさんはちょうど片付けをしているところだった。十年前、彼らは家族で花蓮、台東を旅行し、この広い海に心を奪われた。そこで毎週北部からこの場所を訪れ、土地を探し、設計や工事に携わりながら、時間をかけて憧れから理想の形を作り上げていった。そして定年後にやっと、願っていた生活を送れるようになった。家のぬくもりと自然を調和させ、この美しい風景を作り出すことができたのだ。大きな長い木のダイニングテーブルに座って、仲間たちと過ごす日々を味わい、遥か彼方まで続く青い海の息吹に体を預けるーーそれこそが「純粹愛大海」が願うことだ。
オーナーも暮らすその建物は、外側から見ると重なり合っているように見える。その中に入り、広いリビングでチェックインをする。清らかな音楽の中、木のテーブルでコーヒーや紅茶を飲みながら、本棚にある本をパラパラとめくる落ち着いた時間。好きなソファーを選んで、窓に映り込む海を眺めるのもいい。リビングと同じくらいの広さの開放式のキッチンでは自由に料理をすることができ、冷蔵庫にはLouisさんとNancyさんが旅人たちのために用意した朝食の材料が入っている。朝食は蔥油餅(ネギ入りパン)かベーグルを出発前に選ぶことができ、肉類やジャムを合わせていただく。さらに、ビールもしくは赤ワインはサービス!選択肢が多すぎて、毎日の朝食の時間が待ちきれなくなってしまう。
三つの部屋で異なる東海岸の景色 長く留まりたくなる
オープンタイプの海の見えるダイニングを通り過ぎ、通路に沿って宿の裏まで行くと、そこにはもう1つ別の建物がある。中には客室が3つあり、それぞれ「新社梯田双人房(新社梯田2人部屋)」「跳浪楼中楼樓四人房(波が打ち寄せるロフト付き4人部屋)」「布朗尼温馨四人房(ぬくもりのブラウニー4人部屋)」と名前が付いている。どれも花蓮のイメージや家族の幸せな記憶から名付けたものだ。木や石壁、赤レンガなど建物にもともとあった素材がシンプルな空間に組み込まれ、ゆったりと快適に過ごせるようになっている。「純粹愛大海」では、東海岸での憧れの長期滞在を分かち合いたいという思いから、宿泊日数に応じて価格を下げている。この宿での時間を、ゆったりと心ゆくまで体験してほしいというオーナーの願いによるものだ。
「新社梯田」の部屋のドアを開けると、部屋の壁が床まである大きなガラス窓になっているのが目に入る。オープンタイプの真っ白なバスタブからは海の景色が見渡せ、フローリングには柔らかな布団が敷かれていて、旅の魅力と穏やかさを感じさせる。部屋のドアの後ろにある木の階段を上がっていくと、そこは4人部屋の「跳浪楼中楼」だ。部屋の中には、ベッドに使われている杉の木の香りが漂っている。友達同士での旅行や、海に面した場所に泊まりたいという憧れを叶えるのにぴったりだ。「布朗尼(ブラウニー)」という部屋の名前は、オーナー一家がお菓子作りが好きなことからアイデアを得たものだ。温かな雰囲気のシンプルな小上がりのスペースに集まることができるこの部屋では、浴室がシャワー・トイレ別になっていて、大人数での宿泊でも快適に過ごせるようになっている。海に面するように作られた丸型のバスタブで、温もりの中に浸りながら夜を過ごす。
仲間と作る心温まる朝食、海を眺めながら食事を楽しむ時間
「早安!(ザウアン:おはようの意)」朝、部屋を出ると、オーナーが犬の散歩をしながらこちらに向かってあいさつする。友達や家族と一緒にリビングへ行き、胸を高めながらキッチンへと入る。あなたは鍋を温め、友達は卵を割ったり、ベーグルを焼いたり、忙しくも楽しい料理の時間。白いお皿の上に、ほんの少しローズマリーを飾ったとろとろのオムレツ、ジャムとオリーブオイルを塗ったもっちりしたベーグル、そしてちょうど良い塩梅に味付けしたポークソテーを盛り付ける。海に面した長いダイニングテーブルで味わう、旅の仲間たちとの手作りの朝食。美味しい食事を堪能し、新たな旅行のリズムを肌に感じる。
とある週末、オーナーと看板犬と一緒に山の小道を散歩していると、きらきらと輝く午後の光がゆっくりと降り注いでいた。少し遠くの方には海のそばに佇むあの理想の生活が見え、心は充実感に満たされていく。ここでは悩み事に心を煩わせることはない。ここにあるのは太陽の光と芝生、そして「純粹愛大海」のために建てられた自然とともに生きる家だけだ。心を休ませる気ままな旅行の計画を立て、旅の仲間たちとともに過ごすゆったりと流れる休日がここにある。