温かくて、情熱的、そしてもてなし上手――一度訪れれば、誰もが台湾を好きにならずにはいられない、そんな麗しのフォルモサ(※)!数百年の歴史の中でさまざまな民族と文化が交わってきた台湾には、独特な生活様式の中で、昔ながらの温かな人情味や伝統の味が変わることなく受け継がれてきました。Dear b&bの特集上編「来ればきっと好きになる!」では、古き良き伝統が根付く台湾を紹介します。旅人たちの印象に深く残り、再訪したいと思わせるその魅力とは…?
台湾人を語るキーワード:温かな人情味
台湾人といえば、多くの人が真っ先に「人情味」という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか。特に中部や南部の田舎では、生まれながらにして太陽の如く情熱的で楽観的な人が多く、昔ながらの農家にありがちなご近所との密接な関係も相まって、彼らの中に台湾人の良心と純朴さを見て取れます。加えてもてなし上手。みんな一緒に庭で食卓を囲んだり、互いにごちそうし合ったり、食卓ではごちそうを取り分けたり、豪快に乾杯したり…。山奥の先住民の集落や小さな町の伝統的な家族に限らずどこででも、台湾人は寛大で情熱的、そしてサバサバした性格であることを感じることができます。
田舎や先住民の集落に暮らす台湾人だけでなく、彼らの気質には真心と信頼が備わっています。人々は互いに敬い、誠意をもって接することで信頼感が生まれ、旅人にとって馴染みのない環境であっても安心して快適に過ごすことができるのです。カフェの席にバッグを置いたままトイレに立っても大丈夫。あるいは旅人にとっても便利な各地にあるレンタサイクルYouBikeも良心と信用という昔からの自然の摂理の上に成り立っています。これは世界中からやってくる旅人たちの台湾に対する第一印象というだけでなく、台湾人でさえもほっこりしてしまうエピソードなのです。
日常風景と歴史的建造物の美を訪ねて
心が温かい台湾人と出会うことは、台湾の日常風景と同じくらい魅力的です。例えば、田舎の家の多くは一年中ドアは開けっ放しで鍵は閉めず、網戸越しに人々の暮らしを覗くことができます。小さな町や漁村を訪れたなら、おじいちゃんやおばあちゃんが家の前やガジュマルの木の下でおしゃべりをしているかもしれません。そして、より一層親切に温かく歓迎してくれることでしょう。
同時に、台湾各地には特徴的な建築物がたくさん残されています。台南の市街地や安平の路地に入り込めば、至る所に古い町家があり、美しい模様のマジョリカタイルや珍しい細工が施された鉄格子窓といった昔ながらの工法にしばしば出会います。また、桃園の「林家古厝」や新北・深坑の「永安居」、台中の趣ある「霧峰林家」など、大家族の日々を包み込んできた三合院は、時代と共にさまざまな伝統を取り入れてきたのだと考えられます。かつて三合院の中庭でお茶を飲み、おしゃべりを楽しみ、遊び回ったことは、多くの年配者が思い描く三世代の暮らしの思い出でもあるのです。ほかにも、多くの廟では子供から大人までたくさんの人が年配者を伴って参拝をしている姿を見かけることでしょう。線香の煙が立ち上る台北の「龍山寺」や「行天宮」、恋や縁談を祈るなら大稻埕の「霞海城隍廟」など。境内では、龍が刻まれた石柱や絢爛豪華な龍と鳳凰の装飾、それから細工が見事な屋根と、じっくり眺めたい価値ある伝統の技が光ります。
それだけではありません。台北の主要エリアである「總統府」では、赤レンガの外観がバロック様式と見事に調和しています。100年を越える歴史の中で、日本統治時代の台湾総督府から国民党政府の手に渡る政権の交代や移り変わる時代を経てもなお、クラシカルな荘厳さで佇んでいます。總統府は申請すれば誰でも見学ができ、最近では海外からの旅人が宿泊できる体験イベントも行なわれています。まさにホスピタリティーにあふれる台湾人が世界中の人々を歓迎しているのです。
素晴らしき伝統を体験して美しい思い出作り
人情と建築物以外に、庶民の伝統の味にも暮らしの文化が反映されています。例えば茶で客人をもてなす「奉茶(フォンチャー)」。人情味は、銀銅色の茶壺の中からお茶へと姿を変えて、時に田んぼのあぜ道や道端、山奥でさえも振る舞われています。ひと仕事終えた農民に、道行く旅人に、ご自由に無料のお茶を一杯、しばしの休憩をどうぞ。きっと台湾人の温かな気持ちを味わうことができるでしょう。もしもそんな一杯を味わいたいのなら、台東の池上や高雄の柴山へ行ってみてはいかが?
そして各地の寺廟で行なわれる「遶境(ラオジン)」と呼ばれる神様の練り歩きやお祭りも欠かせない伝統行事です。例えば、台中の大甲鎮瀾宮では海の女神・媽祖の「遶境」が有名で、熱気に包まれた町中を練り歩きます。あるいは毎年旧暦の元旦には「搶頭香(チャントゥシャン)」という線香を誰よりも早く備えたら幸運に恵まれるという縁起担ぎもあり、敬虔な道教信者たちを惹き付けて止みません。それら寺廟の節目のイベントでは、お守りや焼きビーフン、団子スープなどの伝統料理が無料で振る舞われ、故郷の人々に恩返しします。参加すれば、台湾人がどれだけ活気に満ちた雰囲気が好きで、信心深いのか体感できるでしょう。
もし台湾の暮らしを感じられるお土産を探しているなら、台北・大稻埕の迪化街がオススメです!時期になると正月用品が並ぶ「年貨大街(ニイェンホウダージェ)」で有名なここは、普段は赤レンガの建物が両脇にずらりと連なる通りで、漢方食材を売る店、飴や伝統工芸品を売る店…ノスタルジックな各種商店が隠れています。昔ながらの竹や木製の調理用品の店では、おばあちゃんたちが買い物にぶら下げていたメルカドバッグなどが売られています。あらゆる雑貨が過ぎ去りし日々を、そして伝統的な暮らしに潜む台湾らしさを語り掛けてくるはずです。
台湾へいらっしゃい!数百年の歴史が生み出した多彩な文化が、台湾各地で花開いています。寺廟や路地裏の古民家に、ガジュマルの下で味わうお茶に、賑やかな食卓に、街角に転がる日常と温かなもてなしを体験してみませんか?故郷へ帰ったように温かく迎えてくれる台湾を忘れられなくなるはずです。一度訪れれば、きっと好きになる、台湾へ――!
※台湾の別称。「福爾摩沙」あるいは、漢訳から「美麗島」とも。