親切さと個性溢れるリラックス空間
「座って座って!どこでもいいですよ。床でもOK!」南灣ps.に足を踏み入れると、大らかな雰囲気のオーナー・阿詠さんが気さくに声をかけてくれた。もう一人のオーナーである雅俐さんは、ロビーの横にあるオープンキッチンで涼しげなウェルカムドリンクのソーダを準備している。リラックス感が漂うこの宿は古い家をリフォームしたもので、デザイナーの阿詠さんが設計を手がけた。一階のリビングは彼らの生活空間で、阿詠さんが自ら集めたアンティークコレクションや宝物をゲストと分かち合う場所にもなっている。一角にあるサーフィンボード、オープンシェルフに置かれたアンティークランプ、浜辺で撮った写真。本や植物もすべて無骨なインダストリアル風のインテリアの中にあり、他にはない独特な色彩と温かみを添えている。アイランドキッチンにある調理用具やコーヒーセットを合わせると、そこはまるで小さなカフェのよう。家に帰ってきたような雰囲気を残したまま、ここにしかない味を引き出している。
「ここに来たらやっぱりくつろがなくちゃ!」明るくユーモアのある阿詠さんは、器用に南灣ps.にぴったりなサブタイトルをつける。庭に続く木製のバーカウンターの窓を開け、日の光と外の緑を感じながら心地良い空間を満喫する。ソファーに寝転んで過ごす人、小さな鉄製の椅子に座って会話を楽しむ人。何にも縛られない自由な時間を心ゆくまで味わえる。
3つの部屋。気ままに吹く風から感じる広い海の景色
少し休んだ後、オーナーの阿詠さんが1階の裏庭にある「雙棲雙人房(2人で暮らす部屋)」へと案内してくれた。屋外には手作りの窓付きの木製バーカウンターがあり、ゆったりと景色を楽しむことができる。ここで食事をとったり、星を見たりするのもいい。壁一面の大きなガラス戸を開ける。赤レンガと木の質感がシンプルな部屋に温もりを与えていた。グリーンの一人掛けソファも嬉しい存在だ。外の黒い螺旋階段を上っていくと、そこは「走入山風雙人房(山風の入る2人部屋)」。居心地の良さを感じさせる打ち放しコンクリートをベースに、木製の手作り家具や赤レンガ、インテリアが個性的な雰囲気を作り出す。バルコニーの大きな窓を開けると、遠くまで続く山の景色が目に飛び込んでくる。時々、飛んでいく鷹の姿が目に入ることもあった。もう1つの「恣意四人房(欲張り4人部屋)」には、生命力溢れる海の香りが少しだけ多く流れている。太陽の光の筋がグレーの壁に影を落とし、一羽のカモメがゆったりと空を舞う。まるで壁にかかる一本のオールの後を追うように、海への憧れに向かってあなたと共に進んでいく。
夕暮れ時、外の小さなバルコニーへ出て街の風景を眺める。ひんやりとした風が憂いをそっと運んでいく。山の麓にある1階の裏庭で、椅子に座って友達とビールを飲みながら、話に花を咲かせるのもいいだろう。星たちが少しずつきらめき始める頃、散歩に行っていた子猫もいくぶん眠たそうにしながら戻ってくる。シャワールームで、オーナーが心を込めて選んだ、環境にやさしいバス用品「Reise 米膚」で体を潤した。すっきりしたら、夢の中へ…。
リラックスしたリズムの中で味わう朝食
ゆっくり朝寝坊して、まだウトウトした様子で1階へと降りる。前日に水遊びをした後、裏庭に乾かしておいた水着を片付け、ロビーへ行くと、キッチンにはすでに美味しそうな香りが漂っていた。料理が好きな雅俐さんが朝食を作り、阿詠さんはその横でコーヒーを淹れる。白いお皿にはさっぱりと美味しいフルーツや野菜、パン、ソーセージ。鉄のフライパンに盛り付けられているのは、スペイン風オムレツだ。旅の仲間と木のテーブルを囲んで、満ち足りた美しい朝の時間を味わう。
この場所では、時間はまるで窓の外に吹くそよ風のようにゆっくりと過ぎていき、いつまでものんびりとくつろいでいたくなってしまう。午後、友人と共に歩いて10分ほどの南湾のビーチへ行き、足を海につけながら浜辺を歩いた。何もせずに南灣ps.で1日を過ごすのもいい。日記の最後にP.S.を書き加えるように、ここを訪れる一人一人が、この南国での休暇に自分だけの美しい後書きを書き残せますように。