ISSUE 11
冬は温泉へ行こう!野を越え山を越え、向かうは野渓温泉

 

壮麗なる山の中、絢爛なる岩々に抱かれ

大自然に湧く露天温泉を満喫。

 

Dear b&b がオススメする台湾の秘境・野渓温泉へ。

深い山が舞台の冒険の旅へ、いざ出発!

冬は素晴らしい絶景を堪能しながら温泉に入りたい。そんなあなたに今回ご紹介するのは、冒険心をくすぐる野渓温泉の旅です!台湾には各地に点在する温泉地のほかに、渓流や山間に隠された難易度の高い野渓温泉(野湯)がたくさんあります!地層深くの断層から湧き出る天然温泉ではありますが、その多くはアクセスが不便で訪れる人もまばらです。しかし、それゆえ未開の美しさを留めています。今回はDear b&bが、都会の喧騒から離れ、山林に分け入り、その足で歩き、その手でロープを掴み、秘境に湧く野渓温泉へとお連れします。苦しい旅路の後にこそ味わえる、大自然のど真ん中にある至福の湯を、是非ご堪能下さい。

 
 

台東・栗松温泉!エメラルドグリーンに輝く桃源郷と池上の町へ

野渓温泉を語るなら、台湾で最も美しいと言われる野湯、台東の「栗松温泉」ははずせません!地面から湧き出る一般の温泉とは異なる滝状の温泉のため、訪れるなら11月から4月の渇水期が最適です。ですが、この桃源郷のような温泉にたどり着くには、身の毛もよだつような過酷な山道を片道少なくとも1時間は歩かなければなりません。加えて全行程ロープを握りっぱなし。後半には切り立った断崖を下らなければなりません。ほぼ垂直の険しい岩肌なので、全神経を集中して手足を動かさねばならず、まさに体力勝負!渓谷に辿り着いても大きな岩によじ登ることが必要で、最後のロープを伝い冷たい渓流を越えた先に、ようやくヒスイの如く輝く岩肌の栗松温泉が見えてくるのです。源泉は長い間岩肌を伝って流れ落ち、炭酸カルシウムが結晶化して緑藻が発生しているため、温泉一帯の岩は美しいエメラルドグリーンと鉱物の結晶で輝く白が交じり合い、何とも幻想的な景色に。絶景を目の前に湯に浸かって体を温めれば、これまでの苦労も一瞬で癒やされることでしょう。

 

温泉の後は、車で1時間の関山や池上の町へ。池上では「全美行」のお弁当でお腹を満たしましょう。それから近くの「BIKE DE KOFFIE米貝果」で、池上米の米粉ベーグルに手作りジャムをたっぷりつけて召し上がれ。また「大池豆波店」では外カリッ&中ふわっの油揚げも。ついでに湯葉作りも見学できますよ!まだ体力が余っているならサイクリングで町を散策しないと。「大坡池」から池上の田園を見下ろせる「大観亭」、そして「天堂路」へ。スローライフを体験し、温泉で癒えた心と体をさらにリラックスさせましょう!

 

屏東・哈尤渓温泉!虹色に輝く岩肌とルカイ族の集落へ

一路南へ、台湾最南端の屏東・霧台を目指します。ここルカイ族の集落内には、「ウンピョウの湯」と讃えられた七色に輝く岩肌の「哈尤渓温泉」があります!12月から3月の渇水期だけ通じる道の先にあり、この絶景を拝むのは容易なことではありません。まず集落のオフロード車に乗車し、約40分かけて数十の川を越え、それからさらに現地ガイドを伴って約40~60分のリバートレッキングを経てようやくたどり着きます。途中渓谷に、墨汁のように真っ黒な石や赤土色に染められた石など、五色に輝く巨石を見ることができるでしょう。そうしてたどり着いたのがそびえ立つ七色の岩壁です。玄武岩と鉄、硫黄、石英などの物質が混ざり合い、岩壁からにじみ出た温泉が硫黄を洗い流して岩肌は赤、黒、黄、白などのまだら模様に色づき、まるで水墨画のよう。神の落とした作品と言う人もまでもいるほどです!

 

1日中歩き回った後は霧谷の神山集落へ戻って、「神山愛玉氷」のユニークな粟入りの愛玉ゼリーを味わいましょう。もっちりとした粟とつるんとした愛玉ゼリーは、幾重にも重なる食感が楽しめます。集落近くにある石の板を組み立てたような「霧谷長老教会」は、国宝級の芸術家である杜巴男氏の作品です。そのまま岩板巷に入ると、家々の屋根に描かれた壁画や緻密なトーテム、集落の人達が手作りした彫刻などから、ルカイ族の芸術美を観賞することができます。

 
 

南投・楽楽谷温泉!壮大な山々を貫く八通関古道とローカル列車の旅

最後にやってきたのは台湾のヘソ、南投県です。国の一級古跡である八通関古道を通り、台湾で最も高い場所に位置する野湯、「楽楽谷温泉」へ!清朝に切り開かれた東西を貫く歴史ある古道、八通関古道の東埔を出発し、片道だけでもゆうに徒歩約3時間。途中、断崖絶壁の「父子断崖」を登り、雄大な山々に癒されながら山道を歩き切った先に見えてくるのが、壮大な陳有蘭渓です。しかし温泉へは渓谷に沿ってさらに歩かなければなりません。登ったり下ったり、途中温泉が洗い流した色鮮やかな岩壁をいくつか越えて、ついに白煙に霞む小川が見えてきました。これこそが「楽楽谷温泉」です!さらさらと流れる川のせせらぎを聞きながら、石で囲まれた天然温泉に身を沈めましょう。石をずらして川の水で好みの温度にすることも可能です。大自然と一体となった喜びを感じましょう!

 

下山後、車で1時間ほどの距離にあるのが台湾で最も長いローカル線、集集線です。かつては台湾三大材木産地の1つだった、沿線で最も美しい車埕駅から立ち寄りましょう。伐採の歴史に触れられる「車埕木業展示館」に訪れるのもオススメです。次に水里駅近くの「二坪氷店」で昔ながらの棒アイスと、もちもちとした皮の「董家肉圓(肉餡の蒸し揚げ)」を。肉圓を美味しくいただくコツは、まず皮を食べたら、肉餡にスープを足すこと。最後に、「集集サイクリングロード」をお忘れなく。美しい木陰の見逃せない絶景が広がります!

 

この冬、あなたが冒険好きなら、山林に潜む秘境の野渓温泉を探しに、美しい大自然の中へ足を踏み入れるのも悪くないかもしれません。あなたがもしアウトドアに不慣れなら、必ず専門のガイドを伴ってくださいね!山と沢にぴったりの装備を身に着けて、事前準備は万端に。険しい道のりの先にある渓流に湧く天然温泉で、この世の喧騒から解き放たれて、心もリラックスさせましょう!

 

自然味あふれる野湯で一風呂、心休まる宿に一夜

野を越え山を越えて、絶景の野渓温泉を満喫した後は、

あたたかな宿でぬくぬくと。

南投の古風な三合院の農家、池上の居心地のよいホステル、

寒い夜でも疲れた心と体を温めてくれる安心の宿へ!

台東の古い町に吹く新たな風|原来宿

栗松温泉を後にして池上へ。田舎の景色を堪能していると、ふと眼の前に現れたのは生まれ変わった築50年近い家屋――「原来宿」だ。コンテナハウス形式の佇まいは、オシャレだが主張しないモデルが古い町並みで行うランウェイのように、男子の唯一無二のスタイルを遺憾なく発揮している 。

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南投の田園にある農家のお屋敷|農村老爺

楽楽谷温泉を出て、車は集鹿大橋にさしかかる。のんびりとした田園風景が流れていくにつれ、心の中の雑念は消えてゆく。すると、まるでタイムスリップしたかのような、50年代の豪農の屋敷を思わせる建物が現れた。古代の詩人が歌った風景に足を踏み入れてしまったか。「農村老爺」―― 山の中にひっそりと佇むお屋敷。太陽の光と豊かな緑、この地を愛するオーナーの愛があふれている。

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