冬は素晴らしい絶景を堪能しながら温泉に入りたい。そんなあなたに今回ご紹介するのは、冒険心をくすぐる野渓温泉の旅です!台湾には各地に点在する温泉地のほかに、渓流や山間に隠された難易度の高い野渓温泉(野湯)がたくさんあります!地層深くの断層から湧き出る天然温泉ではありますが、その多くはアクセスが不便で訪れる人もまばらです。しかし、それゆえ未開の美しさを留めています。今回はDear b&bが、都会の喧騒から離れ、山林に分け入り、その足で歩き、その手でロープを掴み、秘境に湧く野渓温泉へとお連れします。苦しい旅路の後にこそ味わえる、大自然のど真ん中にある至福の湯を、是非ご堪能下さい。
台東・栗松温泉!エメラルドグリーンに輝く桃源郷と池上の町へ
野渓温泉を語るなら、台湾で最も美しいと言われる野湯、台東の「栗松温泉」ははずせません!地面から湧き出る一般の温泉とは異なる滝状の温泉のため、訪れるなら11月から4月の渇水期が最適です。ですが、この桃源郷のような温泉にたどり着くには、身の毛もよだつような過酷な山道を片道少なくとも1時間は歩かなければなりません。加えて全行程ロープを握りっぱなし。後半には切り立った断崖を下らなければなりません。ほぼ垂直の険しい岩肌なので、全神経を集中して手足を動かさねばならず、まさに体力勝負!渓谷に辿り着いても大きな岩によじ登ることが必要で、最後のロープを伝い冷たい渓流を越えた先に、ようやくヒスイの如く輝く岩肌の栗松温泉が見えてくるのです。源泉は長い間岩肌を伝って流れ落ち、炭酸カルシウムが結晶化して緑藻が発生しているため、温泉一帯の岩は美しいエメラルドグリーンと鉱物の結晶で輝く白が交じり合い、何とも幻想的な景色に。絶景を目の前に湯に浸かって体を温めれば、これまでの苦労も一瞬で癒やされることでしょう。
温泉の後は、車で1時間の関山や池上の町へ。池上では「全美行」のお弁当でお腹を満たしましょう。それから近くの「BIKE DE KOFFIE米貝果」で、池上米の米粉ベーグルに手作りジャムをたっぷりつけて召し上がれ。また「大池豆波店」では外カリッ&中ふわっの油揚げも。ついでに湯葉作りも見学できますよ!まだ体力が余っているならサイクリングで町を散策しないと。「大坡池」から池上の田園を見下ろせる「大観亭」、そして「天堂路」へ。スローライフを体験し、温泉で癒えた心と体をさらにリラックスさせましょう!
屏東・哈尤渓温泉!虹色に輝く岩肌とルカイ族の集落へ
一路南へ、台湾最南端の屏東・霧台を目指します。ここルカイ族の集落内には、「ウンピョウの湯」と讃えられた七色に輝く岩肌の「哈尤渓温泉」があります!12月から3月の渇水期だけ通じる道の先にあり、この絶景を拝むのは容易なことではありません。まず集落のオフロード車に乗車し、約40分かけて数十の川を越え、それからさらに現地ガイドを伴って約40~60分のリバートレッキングを経てようやくたどり着きます。途中渓谷に、墨汁のように真っ黒な石や赤土色に染められた石など、五色に輝く巨石を見ることができるでしょう。そうしてたどり着いたのがそびえ立つ七色の岩壁です。玄武岩と鉄、硫黄、石英などの物質が混ざり合い、岩壁からにじみ出た温泉が硫黄を洗い流して岩肌は赤、黒、黄、白などのまだら模様に色づき、まるで水墨画のよう。神の落とした作品と言う人もまでもいるほどです!
1日中歩き回った後は霧谷の神山集落へ戻って、「神山愛玉氷」のユニークな粟入りの愛玉ゼリーを味わいましょう。もっちりとした粟とつるんとした愛玉ゼリーは、幾重にも重なる食感が楽しめます。集落近くにある石の板を組み立てたような「霧谷長老教会」は、国宝級の芸術家である杜巴男氏の作品です。そのまま岩板巷に入ると、家々の屋根に描かれた壁画や緻密なトーテム、集落の人達が手作りした彫刻などから、ルカイ族の芸術美を観賞することができます。
南投・楽楽谷温泉!壮大な山々を貫く八通関古道とローカル列車の旅
最後にやってきたのは台湾のヘソ、南投県です。国の一級古跡である八通関古道を通り、台湾で最も高い場所に位置する野湯、「楽楽谷温泉」へ!清朝に切り開かれた東西を貫く歴史ある古道、八通関古道の東埔を出発し、片道だけでもゆうに徒歩約3時間。途中、断崖絶壁の「父子断崖」を登り、雄大な山々に癒されながら山道を歩き切った先に見えてくるのが、壮大な陳有蘭渓です。しかし温泉へは渓谷に沿ってさらに歩かなければなりません。登ったり下ったり、途中温泉が洗い流した色鮮やかな岩壁をいくつか越えて、ついに白煙に霞む小川が見えてきました。これこそが「楽楽谷温泉」です!さらさらと流れる川のせせらぎを聞きながら、石で囲まれた天然温泉に身を沈めましょう。石をずらして川の水で好みの温度にすることも可能です。大自然と一体となった喜びを感じましょう!
下山後、車で1時間ほどの距離にあるのが台湾で最も長いローカル線、集集線です。かつては台湾三大材木産地の1つだった、沿線で最も美しい車埕駅から立ち寄りましょう。伐採の歴史に触れられる「車埕木業展示館」に訪れるのもオススメです。次に水里駅近くの「二坪氷店」で昔ながらの棒アイスと、もちもちとした皮の「董家肉圓(肉餡の蒸し揚げ)」を。肉圓を美味しくいただくコツは、まず皮を食べたら、肉餡にスープを足すこと。最後に、「集集サイクリングロード」をお忘れなく。美しい木陰の見逃せない絶景が広がります!
この冬、あなたが冒険好きなら、山林に潜む秘境の野渓温泉を探しに、美しい大自然の中へ足を踏み入れるのも悪くないかもしれません。あなたがもしアウトドアに不慣れなら、必ず専門のガイドを伴ってくださいね!山と沢にぴったりの装備を身に着けて、事前準備は万端に。険しい道のりの先にある渓流に湧く天然温泉で、この世の喧騒から解き放たれて、心もリラックスさせましょう!