正好友生態環保旅店

昔ながらの街にある自然教室

島で一番にぎやかな昔ながらの通りでひときわ目を引く黄色い大きな扉を押し開けると、バーカウ ンターから出てきたオーナーの正男さんに優しい笑顔で出迎えられた。自然をこよなく愛する正男 さん。民宿を人々に自然や生態環境を伝える教室にしようと考えた。広々としたロビーは旅人たち の交流の場だ。テーブルの上のティッシュケースや壁に貼られたお手製の地図、ウミガメの模型な ど、自然に関する小物たちが至る所に散りばめられている。

ここに来れば、旅人たちはみんな正男さんの友達だ。正男さんはどんな質問にも丁寧に答えてくれ る。大事なコレクションである模型を使って、この海に暮らす生き物たちについて一つ一つ教えて くれるだろう。漁師の家に生まれ育った正男さんは、高校を卒業すると島を離れ、台湾本島南部の 高雄で過ごした。だが、娘が生まれたのを機に故郷へ。小琉球の美しさを知ってもらいたかったか らだ。まずは民宿で働いて経験を積み、海への情熱を胸に、自身の理想をこの民宿で実現させた。

7つの部屋に隠された琉球の美しさ

一見形が整ったビルに思えるが、実は伝統的な細長い建築スタイルの建物で、寝室は7部屋ある。 どれもおしゃれなロフトスタイルの内装だ。余計なものは一切なく、シンプルな心地よさを感じさ せる。7部屋それぞれにはこの土地とつながりのある名前が付けられている。「カニ」や「ヤドカ リ」と名付けられた部屋の壁には、イラストと一緒に「撮影する以外、何も持ち帰っちゃダメ」「 足跡以外は残さないで」と島の生態環境を守るためのマナー喚起の言葉が。「魚人」や「人魚」の ツインルームには「烏鬼洞」と呼ばれるサンゴ礁の岩穴に関する伝説が隠されているという。他に も「小琉球」、「海洋超人」、「海兎」などの部屋が旅人たちを待っている。

部屋には自然をテーマにしたプレゼントも準備されている。リサイクル素材で作られた小さな箱に は、客室の名前にちなんだデザインが入ったTシャツやポストカードが入っている。部屋にまつわ る物語も紹介されているというから楽しい。ちなみに小箱はティッシュケースになもなるのだとか 。

小琉球を深く知る

「宿は旅人が一番最初に現地と触れ合う場所なんだ」――。正男さんは民宿こそが旅人たちにとっ て最適の教育の場になると信じている。小琉球といえば人々のイメージは自然の美しさにとどまっ ていることが多いが、実は豊富な歴史や文化も魅力の一つ。正男さんは旅人たちに海の知識を伝え るだけでなく、現地の文化や生活に触れてもらえるツアーを企画中だ。干潮時の砂浜でのごみ拾い のイベントや、専門家による講座の開講にも力を注いでいるという。

ここは正男さんの自然への情熱と愛情から生まれた民宿だ。至る所から彼の夢とこだわりが感じら れるはずだ。ここで羽を伸ばすのはもちろん、自然について理解を深めれば、海の良き友になれる ことだろう。