時驛 Stable Hotel

都会的なシンプル設計、こだわりのアイテムをセレクト

木製のドアを押し開けた。焼けつくような陽射しに照らされて喘いでいた息遣いも、軽快なエレクトロサウンドのリズムにのって消えていく。大きな窓からこぼれ落ちる光…軽やかなおしゃべりが空間にただよっている。バーカウンター上には掲げられた金属の文字が。雲の形をした照明は、空間を貫くように高い天井からつり下がっている。古都・台南の印象とは対照的に、「Stable Hotel」は実に都会的で、若々しい息吹を感じさせる。そして、この都市の記憶に新たな1ページを刻んでいるのだ。

明るく現代的な空間には、訪れる人に寛ぎと安らぎを与えるオフホワイトが配され、シンプルでモダンな雰囲気を醸し出している。ナチュラルウッドのユニークな長テーブルは、台湾の家具ブランド、STIMLIGのもの。空間にあるすべての照明や椅子はどれもスペインやイタリア製で、マグカップさえも世界的に知られる陶器メーカーVilleroy & Boch社製だ。すべての家具はオーナーのNickさんが自ら選定したのはもちろん、「歯ブラシさえも自分で十数本近くを試してみたんだ。アメニティ―は20種以上もトライしたね。最終的に環境にも身体にもやさしいAVEDAに決めたんだ。」と胸を張る。快適に過ごしてもらうため、Nickさんは人一倍時間をかけてこの宿のために準備をしてきた。すみずみまで美しく、気の利いた、ほかとは一線を画したセンスある宿を台南に築くために。

6つのデザインルームがいざなう新しい台南ステイ

2～4階にある6つの客室は、階段の壁から室内まで、さまざまな工夫が施されている。どの部屋もまさにデザイナーによる展示空間のようであり、中はまるで異なるテーマの作品展だ。けれど一貫しているのは、オーナーのセンスある日常だということ。2階の壁面には、宿名の一文字一文字を頭文字にした言葉が――「Share Tainan A Brilliant Life Experience」。簡潔でありながら意味深く、台南の旅を書き記している。

異なる名がつけられた各客室には、さまざまな驚きが待ち受けていた。「Ballerina」は、優雅な振る舞いでステイしたいクラシカルなフランス風の女子向きの部屋だ。つま先立ちで軽やかに、鏡に映った夢の国でくるくると。「Wabisabi」は、グレーに淡い木目の家具を合わせて、暮らしの中の美と禅を拾い集めている。闇夜の中、虹色のブロックに照らされている気分になるのが「Fantasy」だ。「Evolve」は、純白のタイルに、幾何学模様のアートが飾られて一層スタイリッシュに。そして、最も驚かされるのが「Pantone」だろう。室外の壁面から独特のムードがただよい、室内はまるで撮影スタジオのようにシンプル且つ洗練されていて、あふれんばかりの色彩が、鮮やかな旅の思い出をつなぎ合わせている。

太陽の下で味わう豊かなおいしさ

朝、ブラインドから朝日がすり抜けて、柔らかな枕とシーツを暖める。陽射しをたどって階下へ向かう。今日の朝食は何にする？洋風なら、黄金色に焼き上げたカリカリのイタリアンチキンに、新鮮なゴマドレッシングのサラダを添えて。台湾風なら、外せない台南名物・牛肉スープをご飯と旬の野菜と共に。どちらを選んでも、目で舌で楽しめる豊富な味わいで、ご機嫌な1日の始まりをもたらしてくれるだろう！

空間、料理、そしてインテリアからアメニティに至るまで、何もかも細やかなおもてなしの心であふれている。リノベホテルの都会的なファッショナブルさとは異なる、古都・台南の新しい旅の形を再構築している。「Stable Hotel」――時の駅。そこは、台南暮らしの趣を味わえる旅の駅なのだ。